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先日株式会社伊予鉄グループ(以下、伊予鉄)と西日本旅客鉄道株式会社(以下、JR西日本)が連名で「伊予鉄の電車とバスにICOCAを導入する」と発表しました。
愛媛では今まで交通系ICカード過疎地だったが、これで一旦は解消される形となります。本日はその留意点などをお話しします。
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交通系ICカードの普及は全国で広がった、しかし・・・
引用元:東海旅客鉄道株式会社
全国交通系のICカードというのはSuicaやICOCAなどのICカードのことをいい、現在47都道府県の大半で使えるようになりました。
Kitaca | JR北海道 | PiTaPa | スルッとKANSAI |
PASMO | パスモ | ICOCA | JR西日本 |
Suica | JR東日本 | はやかけん | 福岡市交通局 |
manaca | エムアイシー | mimoca | 西日本鉄道 |
TOICA | JR東海 | SUGOCA | JR九州 |
現在一般的に普及しているのが上記の10のカード。四国旅客鉄道(以下、JR四国)を除いた旅客鉄道会社5社と大手私鉄によるものです。
対応する鉄道事業会社やバス事業会社に乗車する際、精算時に1枚のカードで精算できるということで現在当たり前のシステムとなっています。
ところが、四国のみほとんど対応していないのが現状です。
四国のみ鉄道整備が大幅に遅れている。
四国のみ鉄道整備が大幅に遅れている、そう感じるユーザーも少なくないしそれをネタにするものも少なくありません。
実際他の県では普通にあるものが四国にはありません。今回取り上げるICカード以外にも「自動改札機がほとんどない」「新幹線が走ってない(これは沖縄も)」のも遅れてると感じる瞬間です。
高松に住んでた時に時折岡山に足を運んだ際、岡山駅の充実っぷりに衝撃を受けることが多くありました。これが関西や関東になると尚更です。それだけ四国の鉄道設備は大幅に遅れているわけです。
香川県のみある程度は普及している。
四国は時代に取り残され、遅れてるとはいえ香川県だけは例外。
香川県は岡山県と直結することが度々ある(放送局が共有化されてるのもある)。
JRの瀬戸大橋線は岡山高松間を毎日多くの乗客で占めています。当然だけど交通系ICカードがないと不便になるわけです。
ということで、現在JR四国では高松を中心に自動改札機やカードリーダーを設置しています。
また、高松琴平電気鉄道(以下、琴電)もIrucaを発行し、現在片道とはいえSuicaやICOCAなどのICカードにも対応しています。そして対応駅も琴電とことでんバス全区間対応になってるため、香川県(主に高松市)ではある程度普及していることがわかります。
ただし、IrucaをJRや他の私鉄で使用することができません。
四国以外でも交通系ICカード過疎地はある。
引用元;西日本旅客鉄道株式会社
四国が過疎地になってるのは「完全非対応」であるから。
全国でも一応対応エリアになったけど、他の交通設備には使えないというところはごまんとあります。
今年の5月に東日本旅客鉄道(以下、JR東日本)はSuicaエリアを青森および秋田まで対応することを発表し、実際稼働しています。
他にもJR西日本が福井に対応したり、九州旅客鉄道(以下、JR九州)が宮崎に設置したりと行われています。
とはいえ、あくまで対応になっただけで範囲が狭い県も少なからずあります。
例えば鳥取県でも使えるのは伯備線エリアのみで、鳥取駅では現在でも自動改札機もないしICカードも使えません。
島根県に本社を構える一畑電気鉄道の鉄道会社である一畑電車ではICカードで購入できるものの、乗車券として使うことができません。一方でバス会社の一畑バスは対応しています。
山口県でも山口駅までしか使えず、宇部線や小野田線は非対応になっていることがわかります。山口エリアも山陽線を除いて一部の駅でしか使えません。これはJR四国エリアと山陰線も同じです。
JR西日本だけ考えても完全普及しているとは言い難い状態になっているのが現状です。
導入にお金がかかる。
田舎になればなるほど、ICカード非対応のエリアが増えていくのはわかりましたが、実際これらの設備を取り付けるのにもお金がかかります。
関東、関西、中部、札幌仙台広島福岡といったエリアとその付近なら人口も多いのでそれだけ費用対効果があります。
岡山香川でも瀬戸大橋線は太いし、岡山近辺(総社、倉敷)もマーケットとしては大きいので、設置するのは当たり前です。
沖縄のゆいレールの場合、すでに出回っているので設置は簡単というわけです。もちろん観光もありますが。
そうゆうことを考えたらカツカツなJR四国や規模の小さい私鉄でこれらを設置するのにもお金がかかるということで会社としても悩みの種といったところでしょう。現実他のJRでも非対応のエリア、めちゃくちゃありますから。
県外からの観光客に不便を強いられてる。
ここで愛媛の話に戻ります。
松山市は人口50万人を擁す四国最大の都市で、道後温泉や坊ちゃんでも知られる観光都市でもあります。
そんな中で走ってるのが伊予鉄とJR四国な訳ですが、どちらも交通系ICカード非対応(=過疎地)です。
JR松山駅や松山空港、高速バスで松山市駅(以下、市駅)に到着し、そこから中心街を散策するのですが、現状は伊予鉄が独自で発行しているいーカードかみきゃんアプリでなければならず、それがない場合は基本的に現金のみです。
そのため、長年旅行客を中心に不便を強いられているのです。
ようやく伊予鉄も重い腰を上げた。
10月27日に伊予鉄とJR西日本が連名で正式にICOCAに対応すると発表しました。これにより愛媛はICカード過疎地からの脱却となります。
具体的には路面電車(以下、市内電車)と松山空港リムジンバスのみ対応するとのことです。簡易的なICOCA精算機を車内に導入し、そこでICカード精算できるということです。
JR四国および琴電との違いは以下の通り。
伊予鉄 | JR四国 | 琴電 | |
列車 | 市内電車全線 | 高松〜多度津・児島〜岡山 善通寺、琴平、詫間、観音寺 栗林公園北口、栗林、屋島 | 全線 |
バス | 松山空港リムジンバス | なし | 全路線 |
不足区間 | 郊外電車全線 路線バス全線 松山港リムジンバス | 上記以外のJR路線全線 路線バス全線 | なし |
相互利用 | 可能(ICOCA) 不可能(いーカード) | 可能(ICOCA) | 可能(ICOCA) 不可能(Iruca) |
スマホ対応 | 対応(モバイルICOCA) 対応(みきゃんアプリ) | 対応(モバイルICOCA) | 対応(モバイルICOCA) 非対応(Iruca) |
チャージ | 不可能 | 一部可能 | 一部可能 |
伊予鉄の台所事情。
ただ、伊予鉄も苦渋の決断だったと思います。
というのも、先日伊予鉄は11月に電車とバスの減便を発表したばかり。
特に観光列車である坊っちゃん列車の運休は松山市にとってもダメージが大きく、松山市長の野志克仁さんは「早期の再開に向けて協議したい」としていますが、「寝耳に水」で相談がなかったことによる不信感も示したそうです。
その後伊予鉄社長の清水一郎さんと協議をしている最中。清水さんも「人手不足でダイヤをなくすわけにはいかない」「坊っちゃん列車の維持コスト問題」「坊っちゃん列車の運転手も回すほど深刻」とし、現在の2024年問題や運転手不足を考慮した上での決断だったということです。そうでなければ運休なんてするわけがない。
また10月には市内電車の初乗り運賃が200円に値上げされるなど、非常にキッツイことが伺えます。ま、他と比べてバカ高く一部では殿様商売って言われてるけどね。
そんな状況でのICOCA導入のニュース、経営不振と観光客への利便性との天秤で相当苦心されたんじゃないでしょうか?
注意すべきところ。
伊予鉄のICOCA対応ですが、注意すべきところがあります。
それは「伊予鉄ではICOCAの販売、チャージを対応しない」ということです。
交通系ICカードは基本的に端末でのチャージかクレジットカードによるチャージに対応しています。当然だけど鉄道会社にはその端末が設置されています。
しかし伊予鉄ではそれらを設置する予定は今のところなく、チャージするのであれば近くのコンビニでチャージする必要があります。
近くで言えば琴電の電車や岡山電気軌道も車内でのチャージができません。ことでんバスは車内でのチャージが可能です。
とはいえ、専用機じゃないとダメな独自のICカードと比べて融通は利くようになったので、それはそれでいいかと思います。
ちなみにJR松山駅、市駅、古町駅にセブンイレブン、大街道バス停や道後温泉駅近くにローソン、松山空港にファミリーマートにあります。そこでやるのが現実的かな?
ただし、PiTaPaではチャージできません。これはPiTaPaは使うと後で口座引き落としになるためです。(そのためチャージ不要をアピールしている)
愛媛でICOCAを普及させるには。
引用元:西日本旅客鉄道株式会社
愛媛でICOCAなどのICカードを普及させるにはもちろん利用するのが一番です。現状は市内電車とリムジンバスのみになります。
それ以外でも対応するお店が増えなければいけません。
現在できるとしたらコンビニや自動販売機程度です。イオンは使えるところが限られるとのことなので注意が必要。
愛媛といえばフジですが、こちらは非対応。対応してるのは独自の電子マネーであるエフカマネーとWAON、そしてQRコード払いアプリです。今後これがどう動くか見ものではありますが、伊予鉄同様に設備を整えなければならないので、当面はコンビニがメインになるんじゃないでしょうか?
結局観光客需要のための導入なので、市民は今後もいーカードの方が融通が効くと思います。これはJR四国エリアも同様で、ICOCAの種類も1種類しかありません。
今後将来的に伊予鉄の郊外電車、路線バスやJR四国が松山までICOCA対応ってことになったら変わるかもしれないですね。
愛媛の人がICOCAなどを入れるにはどうすればいいか?
愛媛の方がICOCAなどを導入する際、どうすればいいかという話。
先述の通り、伊予鉄はICOCAを発行しないということで、どうすれば発行できるか?という話になります。
結論から言えば「アプリで対応する」か「販売してるお店で購入する」のどれかになります。
アプリはモバイルSuicaやモバイルICOCAなどで対応できますが、モバイルICOCAはクレジットカード(バンドルカードでもOK)が必要なので注意が必要です。またチャージ機でのチャージもできないのでコンビニでのチャージになるみたいです。
アプリ(主にクレカ登録)が嫌ならICカードになりますが、こちらも愛媛では導入不可。近いところになると高松駅や坂出駅など香川県のJRの主要駅が近いです。
またPiTaPaのようなオートチャージ機能のついた「スマートICOCA」を購入するのであればJR西日本のエリアじゃないとダメなので注意が必要です。(オンラインでの購入も可能)
ということで、現状は観光客需要のための導入であることを念頭に置いておきましょう。
まとめ。
まとめです。
本日は伊予鉄とJR西日本が「伊予鉄の市内電車と松山空港リムジンバスでICOCA対応」を発表したことによる留意点をお話ししました。
対象エリアは伊予鉄の路面電車(市内電車)と松山空港リムジンバスのみとなり、他の伊予鉄の区間では当面いーカードでの対応がメインとなるでしょう。もちろんICOCA対応区間でいーカードを使うことも可能です。
ICOCAの伊予鉄対応については、販売およびチャージはできません。よってチャージする場合はコンビニでのチャージになるでしょう。幸い市駅、古町駅、JR松山駅、松山空港、道後温泉駅にコンビニがありますから問題はありません。
ICOCAを愛媛の方が導入するのはカードだったら近くても香川県のJR主要駅に足を運ばなければならず、しかもノーマルタイプしか購入ができません。スマートICOCAならネットでも手配は可能です。
アプリなら簡単に導入はできますが、ICOCAはクレジットカードが必須です。(Suicaは不要にできる)
またお店も今後どうなるかわかりませんが、少なくともスーパーのフジは現状非対応です。注意してください。交通系以外は基本コンビニか自販機になるでしょう。
伊予鉄やJR四国がエリアを広げたらまだわかりませんが、当面はいーカード(みきゃんアプリ含む)が松山市内でのメインカードになると思います。あくまで観光客や出張客などがメインやねと思いました。
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