【オーディオ】オンキヨー破綻!オーディオ業界が厳しすぎるワケ。【環境の変化】

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 先日、音響メーカーのオンキヨーホームエンターテイメント(以下、OHE)が大阪地方裁判所に自己破産を申請しました。これによりオンキヨーとパイオニアブランドの音響機器は消滅しました。

 今、音響機器メーカーはオンキヨーの倒産からやばい状態とも言えそうです。本日はそんなOHEの倒産で感じたことをお話しします。

オンキヨーの複雑な構造。

 今回自己破産したのはオンキヨーホームエンターテイメントといい、もともとオンキヨーがやってたAV事業です。

 オンキヨーは過去に事業の再編や譲渡を行ってきました。持ち株会社化や分社化はもちろん実施しています。

 しかし、現在のようにサブスクやiPhoneなどのスマホの普及でコンパクトでいい音を聴く環境が整えられたこともあり、ピュアオーディオは衰退していきます。

 パンデミックの影響も含め、資金繰りに難航して結局自己破産したということです。

今のオンキヨー株式会社はオンキヨーグループではない。

 今の「オンキヨー株式会社」はOHE(旧オンキヨー株式会社)のサービス事業として展開していますが、現在はOHEの子会社ではありません。

 昨年のMBOによりOHEグループから離れているため、おなじオンキヨーのブランドを使っているけど、今回の倒産の影響をモロに受けていません。

今オーディオ業界が厳しいワケ。

再編が続いている。

事業継続ソニー、BOSE、JBL、三菱(DIATONE
)、日本ビクター&ケンウッド(JVC KENWOOD)、ヤマハ、オーディオテクニカなど
一旦消滅パナソニック(Technics)、東芝(AUREX)、JVC KENWOOD(Victor)
他分野移行三菱(DIATONE)、パイオニア
他系列会社に移管山水、日本コロムビア(DENON)、日本マランツ
消滅日立(Lo-D)、オンキヨー

 今のオンキヨーはパイオニアの事業を承継しています。今回の破産はそのOHE、すなわち「音響機器としての」オンキヨーとパイオニアのブランドが無くなるというわけです。

 パイオニアも元々は音響メーカーでしたがオンキヨーと同様に経営は良くなく、家庭用音響事業をオンキヨーに譲渡したうえでパイオニア本体はカーオーディオ(carrozzeriaブランド、自動車業界ではこれで呼称することが多いが、わたしは従来通りパイオニアで統一)、業務用音響事業、光ディスク(ブルーレイドライブなど)などに特化しています。

 他にも山水電気は倒産(ブランドはドウシシャが引き継いでいる)、日立製作所(Lo-D)は事業撤退、三菱電機(DIATONE)と東芝(Aurex)も家庭用機器は子会社が承継しています。

 日本コロムビア(DENON)やマランツはファンド運営会社により経営統合、現在でも経営を続けています。(コロムビアはDENONをすでに手放している)

 ソニーやパナソニック(Technics)は現在でもありますが、以前と比べたら大幅な再編が続いているのが現状です。

 すなわち、家庭用のオーディオ業界が超厳しいということです。

住宅環境の構造による問題点。

 元々、音響機器を聴ける環境っていうのはありました。

 しかし、集合住宅となるとそうはいきません。集合住宅になると隣に気を遣わなければならないので、大きな音を出すことは困難です。

 実際、音響機器を取りそろえた写真を見ると防音設備が整えられた部屋や小屋だったり、一軒家の迷惑のかからないレベルでの設備だったりとものすごく限定的です。

 広いアメリカなら何しも、狭い日本ではそういった質のいい環境を整えるのは非常に難しいのです。整えたとしてもせいぜいステレオやコンポ、サウンドバーあたりまでになってしまいます。

わたしがサウンドシステムを手放した理由。

 わたしは元々AV機器大好き野郎で、きっかけとなったホームシアターの設備の構築で初めて購入したのが今回破綻したオンキヨーのホームシアター5.1chシステムです。

 当時の価格で5万円しましたが、スピーカーとウーファーをつけたシステムで楽しむことが出来ました。

 その後、アンプをパイオニアのものに変更し、スピーカーも三菱のものに変更しました。この状態は2020年まで続けていました。

 しかし、集合住宅なので大きな音が出せない事情とスピーカーの圧迫感もあり使わなくなります。下手すりゃ1年以上使っていなかったかもしれません。

 そういうこともあり、2020年に断捨離を決行しサウンドシステムをすべて手放しました。その後はDENONのサウンドバーを購入して現在に至ります。

BOSEやソニーのサウンドバーが欲しいけど、「お金以外で」買えない理由。

 しかし、そのDENONのサウンドバーも近年あまり使っていません。

 理由は先述のサウンドシステムを手放した時と同じで、集合住宅等では音がそんなに出せないから。

引用元:DENON公式

 というのも、やはりいちいち立ち上げるのは面倒だし(ただし、ARC対応のHDMIに接続したら問題ない。)現在持っているソニーのテレビの音響面が慣れてくるとそこまで大差ないことが分かったので結局使う機会は激減。

 ソニーのテレビについてはこちら参照。

 当初はつなぎでDENONを導入し、使う頻度が高くなったらBOSEやソニーのサウンドバーも考えてはいたのですが、現時点で購入の決断に至っていません。むしろ処分も考えてる。

 実際、YouTuberのセイキンさんがBOSEのサウンドバーをレビューした時も大きな音を出す際は(迷惑になるので)マンションであるご自宅のスタジオでなく専用の音響スタジオで試したぐらいです。それだけ難しいということです。

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予算的なモノ。

 もちろん、予算的なものもあります。

 従来型のステレオやコンポだったら通常5万円程度で購入することができます。しかし、ホームシアターシステムやピュアオーディオになると10万円はおろか100万円まで行く世界になります。アンプだけで5万円。そりゃ買わないでしょ?

小型で安くて高音質なサウンドが楽しめるようになった。

 現在の技術進歩により、完全ワイヤレスイヤホンや360度スピーカーといったミニオーディオがよく出ています。それに伴いハイレゾ音源が普及しました。(パナソニックがTechincsを復活させています、これは後述)

 それにより小さいスピーカーでもソフトウェアの変換によりいい音を出すことができています。

 イヤホンでもノイズキャンセリングやLDACやaptXといったBluetoothの高音質規格が登場したり、空間オーディオをソニーやアップルから出したりと「ピュアオーディオにしなくても手軽で小さくてお求めやすい値段」のサウンドを楽しめるようになったのです。

 とはいえ、やはりハード的に音を出した方がいいのですが、先述の通り住宅環境が良くないといったこともあり、こうゆうイヤホンやスピーカーが近年増えているのが現状です。

 ただし、これらのイヤホンやスピーカーも価格はピュアオーディオ同様に10万円クラス以上は存在します。

ソニー、BOSE、JBLはなぜ生き残っているのか?

 今回、オンキヨーが倒産し、同業者であるソニー、BOSE、JBLは現在でも元気に経営しています。

 なぜこれらは元気に経営しているのか?

 ソニーは本業の家電以外にプレイステーションといったゲーム事業、映像・映画事業、音楽事業(ソニーミュージック)、金融業など色々ソニーブランドで手を広げています。

 芸能事務所もソニーミュージック経由で進出しており、お笑いだけでも錦鯉のお二人、バイきんぐのお二人、ハリウッドザコシショウさんがM-1グランプリ(朝日放送)、キングオブコント(TBSテレビ)、R-1グランプリ(関西テレビ)で優勝しています。

 このようにソニーは家電だけでなくゲーム、銀行、映像音楽、芸能まで手を広げて成長しています。株価もリーマンショック時から10倍以上に膨れ上がっています。

 BOSEやJBLは共に海外の企業で生き残っていますが、それぞれで特徴のある音があることでファンを生み出しています。とはいえ、やはり音響不況はここでもあるのか、BOSEは自社のお店を閉店している状態です。

 事実、日本の直営店は閉店し撤退。現在は家電量販店やインターネット販売が主流となっている模様。

 JBLも結局のところシャープと似たような形になっている。親会社のハーマンインターナショナルはあのGalaxyで有名なサムスン電子に買収されています。

 つまり、元気なのはソニーだけで他は元気に見えるけど経営的に似たり寄ったりになってるのが現状です。

パナソニックや東芝、ビクターはブランドを復活させてる。

 そんな音響業界は元気がありませんが、それでも日本のメーカーは往年のブランドを復活させています。

 パナソニックと東芝はそれぞれ「Technics」「AUREX」というブランドがあります。一時期ブランドを使っていませんでしたが、近年高級オーディオを中心にブランドを復活させています。

 パナソニックは現在のパナソニックホールディングスの社長である楠見雄規さんがアプライアンス社の副社長だった頃にインタビューで述べています。

参考サイト:https://av.watch.impress.co.jp/docs/series/ce/667163.html

 パナソニックはナショナルブランドを廃止しましたが、Technicsブランドは継続していたそうです。2010年から4年間辞めてましたが、復活します。

 理由はハイレゾ音源が普及したこととパナソニック自体がVIERAやDIGAなど他の分野では力を注いでいたのに、(実力はあるけど)そこまで入れてこなかったから今回ハイレゾの普及も含めて再び力を入れてるみたいです。

 現実、昨年発売されたEAH-AZ60(ノイズキャンセリングイヤホン)はソニーのWF-1000XM4やアップルのAir Pods Proの対抗馬とも言われる商品として評価されています。

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 東芝も2016年に東芝エルイートレーディングが復活させています。こちらもハイレゾの普及で再びブランドを復活させた形です。

 現在はピュアオーディオ以外にもハイレゾ音源のCDラジカセが販売しています。高音質で昔のカセットテープが使えるのは非常に大きいです。

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 パナソニックの傘下だった日本ビクターはJVCブランドを使うので一旦辞めてましたが、高級オーディオなどで再びVictorブランドを使っています。

三菱は継続中。(家庭用は一時撤退)

 わたしがこれまで愛用していた三菱のDIATONEは現在もカーオーディオやテレビのスピーカーなどで使われています。ただ、テレビは撤退したので事実上カーオーディオ中心。

 家庭用のピュアオーディオは1999年に一旦撤退するものの、2006年に三菱電機エンジニアリングによって復活しています。(価格は超高いですが・・・)

 今のDIATONEはパイオニア同様カーオーディオ中心となっており、現在はさらにカーナビ分野へ進出しているそうです。(ただ、こちらもディスプレイオーディオなどの登場でどうなるか不透明)

 個人的にパナソニックのようにDIATONEイヤホン出して欲しいと思っています。

まとめ。

 まとめです。

 今回のオンキヨー(オンキヨーホームエンターテイメント)の経営破綻を見て、改めて音響機器業界は厳しいと痛感しました。

 ソニーは他分野に手を広げて成功していますが、パナソニックは一旦辞めていますし、東芝も経営難があるにしても復活させています。

 音響機器全般が悪くなっているのではなくて、やはり住宅環境も含めて大型音響機器がどんどん売れなくなってるんじゃないか?というのが率直な感想です。

 それに伴って売れているのは小型音響機器。そしてハイレゾ音源の普及やノイズキャンセリングの便利さを知ったユーザーがこぞって購入しているイヤホンやヘッドホンは現在でも家電量販店で多く並べている上にeイヤホンという専門店があるぐらいです。

 それに対してピュアオーディオ関連はどんどん縮小されつつあるのが現状ですね。一部家電量販店では超高級機器を取り揃えた専用コーナーがあります。ですが、一般的なお店はそこまで超高級機器を取り揃えているとは言い難いです。

 結局音響機器全般で考えたらハイレゾの普及や小型化にシフトしているといった感じです。それについていけてるのがパナソニックやソニーじゃないでしょうか?

 そうでもしないとパナソニックはTechinicsを復活させません。

 だから体力的に困難だったオンキヨーが今回倒産してしまったんじゃないかと思います。仮にオンキヨーがワイヤレスイヤホンをもっと売り出していたらこうなってたかどうかはわかりませんが、事業譲渡とか経営支援は考えてたのは事実。でも間に合わなかった。

 BOSEもJBLも今後どうなるかわかりませんが、やはり今回のオンキヨーのように無くして欲しくないという気持ちはありますね。

余談:ビートマニアIIDXのスピーカー。

引用元:コナミ公式

 ここからは余談です。

 現在でもゲームセンターで稼働しているコナミの音楽ゲームのbeatmaniaIIDX。

 このビートマニアは歴代音響機器メーカーのスピーカーが使われていることで知られています。

 もちろん、他のゲームでもスピーカーは使われていますが、大きな違いなのはメーカーのロゴが入っているもの、つまりは既製品を使っていることです。

 稼働当初は長きに渡りBOSEのスピーカーを使っていました。その後tricoro(2012年)よりJBLのスピーカー、coplura(2015年)からはヤマハのスピーカーが採用されていました。

ちなみに、ドラムマニアとキーボードマニアはヤマハの部品を使っています。(OEM)

 現在のライトニングモデルの稼働当初は今回破綻したオンキヨーのスピーカーが採用され、近年はオーディオテクニカのも使われているそうです。

 このように23年続いているビートマニアIIDXのスピーカーもコストやメーカーの都合もあり、筐体が作られていくごとに変わっていくのは面白いですよね。BOSEは特に重低音が売りですから、他の筐体と聴き比べするのもいいかもしれません。(ただ、物によってはかなり老朽化してますが・・・)

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2件のコメント

JBLが元気とのことですが、親会社のハーマンインターナショナルは2017年3月に韓国のサムスン電子に買収されてます。
オンキョーも最近経営破綻して身売り、あのマッキントッシュさえ投資会社に買われてしましました。
私は今年、マッキントッシュのプリとメインを売って、SONYのレシーバー(定価24,000円)に買い替え、スピーカーもJBLのL40を売ってダリのオベロン3に買い換えました。
レコードも普通に聞けるし、DACで、PCのiTunes(音楽3,000曲)、Amazonプライムで映画、ユーチューブやブルーレイプレーヤーの同軸出力で映画も楽しめる。
長くオーディオをやってきましたが、十分満足しています。

わたしも以前オンキヨーのサラウンドシステムをやってました。
その後中古屋でパイオニアのアンプと三菱DIATONEのスピーカーでパワーアップしましたが、
今はあまり使わなくなったのと、圧迫感が半端ないので手放してDENONのサウンドバーにしています。
部屋が広かったらマランツのAVアンプとかBOSEやソニーのサウンドバーも検討してもいいかもしれないですね。(あとDIATONEの復活とか)

現在はノイズキャンセリングイヤホンかサラウンドヘッドホンを探してます。多分ソニーのWF-1000XM4になると思いますが・・・
後者な完全ワイヤレスイヤホンが普及するにつれて衰退してますけどね・・・

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