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ご存じ全国に展開しているアミューズメント施設のラウンドワン(以下、ラウワン)。そのラウワンで近年リニューアルをおこなっているそうです。
リニューアルはクレーンゲームを重点的におくというものです。そうなるとクレーンゲームを充実するために他のゲームに皺寄せがきている状態です。
そんなラウワンについてわたしなりに思ったことをお話しします。
なぜリニューアルを行うのか?
1:ゲームセンターの構造的不況。
一つ目はゲームセンターの構造的な不況によるもの。
ゲームセンターはビデオゲームやプライズゲームを筆頭にいろんなゲームを施設で楽しめるものです。わたしが「業務用jubeat」のように「業務用」というのはいわば「アーケード」「ゲームセンター」で楽しむものを言います。
そんなゲームセンターはこの20年でどんどん閉店を余儀なくされており、ゲームメーカーでもコナミ(チルコポルト)やセガ(ハイテクセガ)などの直営店は撤退しています。(ゲームは製造)
考えられる点はこんな感じ。
- 消費税の増税に対応できない。(100円なら税抜97円から91円に減った。)
- レベニューシェア。(セガ税、コンマイ税と呼ばれるもの)
- 大型筐体が多くなり、小さいゲーセンは対応不可能。
- 家庭用ゲーム(PS2以降顕著)
このような状況です。
今までのゲーセンスタイル。
ゲーセンのゲームはワンコイン100円で100円単位でプレイできるものがほとんどです。
だから、本来なら200円やら300円やらやりたいのだけど、それをすると高くなるからやらなくなったりします。
それを柔軟に10円単位でやるにしても設備の更新やらが必要になって現実的じゃないのは明白です。
近年は電子マネーが普及しており、キャッシュレスでもプレイできるような環境が整えしつつあります。
先駆者はコナミで、コナミは独自のサービス「PASELI」を使っています。これによって今まで100円だったのが120円やそれ以外のサービスでも1円単位で柔軟に対応できるようになりました。(それに伴い、セールも1円単位でできるようになった)
ただ、当初は否定意見も多く、最初に導入されたjubeat saucer fulfillでは100円3ステージでADVANCEDまでしか選択できなかったと言います。(5ステージ200円だとEXTREMEも対応可能)
これにユーザーが怒り、jubeat離れがさらに顕著になりました。その後100円でもEXTREME対応が可能となり、現在に至ります。(Qubell以降はsaucer以前の仕様で100円に戻る)
他も100円だと制約がかかっています。ビートマニアやギタドラ、DDR、ポップンミュージックだと4面設定(条件付き)にすることが可能です。ギタドラはさらに条件を満たせばもう1ステージプレイ可能です。昔の仕様では値上げした状態です。
コナミ以外でも電子マネー(PASELI含む)対応になってますが、基本的にワンコインでプレイできるようになってます。(追加は100円単位)
例えば、セガのオンゲキは100円120Pで1ステージ40P消費システムをとっています。300円だと360Pで9ステージプレイできるという形です。還元率で考えたら120%となります。ですが、これが100%、すなわち電子マネーによる値上げもあり得るという話です。
なぜこうなったかというと、やはり消費税の増税が避けられません。
2:消費税、従量課金、大型筐体と踏んだり蹴ったり。
消費税は年々上がっており、当初の3%の時は税抜価格で98円程度だったのが、現在では91円。(簿記で言えば「借受消費税」(税抜処理の場合)を引いたもの。)
そうなってくると、儲けは減っていきます。今までだったらそれで終了です。
しかし、近年はネットワーク稼働が大前提。それに伴いネットワークでのアップデートが簡単にできるようになります。
その分プレイに対してメーカーに上納金(従量課金)を支払わなければなりません。これがいわゆるレベニューシェアというものです。「セガ税」「コンマイ税」と呼ばれるものです。
この従量課金が発生してから、1回のプレイに対してメーカーに払う状態になってます。例えばゲーセンに定期的に行ってた頃のコナミの課金は30円程度と言われていました。
よって、100円のゲームだと消費税抜93円とした場合、33円取られるので60円がゲーセンの手取りとなります。120円だったら80円になるので、少し儲かるわけです。
100円2クレだと儲けが30円になるので、今までの100円2クレゲームは赤字覚悟の状態になります。
また、レベニューシェアの導入により、大型筐体の販売は少し安く買えるそうです。
その大型筐体も場所が取れなかったらできなくなります。太鼓の達人やチュウニズムだったらまだいいとしても、DDRやカードゲーム、戦場の狼といった大型筐体だと入るスペースがなけりゃ意味がない。しかも安くなるとはいえ基本的に百万円単位なのでバカ高い。
基盤や共通筐体のゲームだと10万円程度で購入できたのが、今では100万円以上かかるので、ラウワンなどの体力があるお店じゃない限り厳しくなるのは必然です。
レベニューシェアによる弊害はもう一つあり、ゲームの終了はメーカーで決められます。簡単に言えばソシャゲーと同じ。
ゲーム人気が落ちていき、サービスが終了すればユーザーから見たら2度とプレイできなくなります。BEMANIで言えばビートストリームは2度とできませんし、他のゲームも過去のシリーズはプレイできません。リフレクビートなんか悠久のリフレシアがあるけど、旧ルールのVOLZZAのプレイは原則不可能です。
ゲーセン側から見たらサービスが終わったゲームはただのガラクタとなるため、最終的に撤去、処分の運命となります。
今、環境云々言われてるのに、完全に逆行してる。
このように、胴元が儲かるシステムが顕著になり、火の車状態となって閉店が増えているのが現状です。
参考リンク:https://news.nicovideo.jp/watch/nw5901820
3:パンデミック。
そして2020年からの世界的なパンデミックにより自粛を余儀なくされ、ある程度落ち着いているとはいえ、それでも警戒することは変わらないので距離を置くユーザーも少なくありません。
4:家庭用ゲームの進化。
パンデミック以前から家庭用のゲームの進化は著しくなっており、PS2以降は普通に移植できるようになりました。
当然だけど、ネットワーク対応は家庭用でも行われており、現在では胴元(任天堂やソニー、マイクロソフトなど)にネットワーク利用料を支払えばネットワーク対戦ができるようになります。
そうなってくると、今までの基盤でのゲームセンターは維持できなくなるから、ゲーセンでしかできない体験ということで大型筐体が中心となるわけです。
音楽ゲームの場合、家庭用だと容量の都合も含め100曲未満(それでも多いが)と少数精鋭ですが、業務用だと1000曲以上の楽曲がプレイできるようになります。また、過去のVerやボス楽曲と呼ばれるものも基本的に業務用で1年ぐらい稼働させてから家庭用に移植することも多いです。
そのようにして家庭用との差別化をおこなっていますが、近年はパソコンでできるようになり、ゲームセンター不要はさらに顕著になってます。
コナミは特にパソコンやタブレットで対応し始めており、BEMANIシリーズやクイズマジックアカデミー、麻雀格闘倶楽部なんかは自宅でもパソコンさえあればプレイできます。(もちろん支払いは電子マネーかクレジット)
まぁ、同時収録はそこまでないので、やはり業務用との差別化を図っています。
そういったものもあり、業務用でやるメリットはほとんどなくなっています。セガが頑なに家庭用を出さないのはそういったことがあるのかもしれませんし、そもそも大きい。w
5:皺寄せは結局ゲームセンター。
胴元が儲かるシステム、パンデミック、家庭用ゲーム機の進化、増税、大型筐体という状況でゲームセンターは体力のない小さなところからなくなっています。
例えば愛媛県松山市のゲームセンターでも、松山大学や愛媛大学といった学生街は20年前までは6店舗あったのですが、現在は全部閉店しています。
セガやコナミのゲームをやりたいのであれば、郊外のラウワンや中心街まで足を運ばなくてはなりません。
松山は減ってるとはいえ、MG(松山ゲームサービス)が頑張ってるのかまだまだマシな方で、他の地区、特に県庁所在地以外のゲーセンは減少傾向となっています。それだけ厳しい状態。
あったとしてもショッピングモール(イオンモール、ゆめタウン、フジグランなど)の中のゲーセンとかが主となっています。それでもビデオゲームは減少傾向で今回のプライズ偏重になってるのが現状です。
ビデオゲームの大量リストラ。
話が長くなりましたが、現在ラウワンはリニューアルと題し、プライズ(ギガクレーンゲームスタジアム)にウェイトを置く方針を取ろうとしています。
そのため、今まで設置されていたビデオゲーム(大型筐体含む)の大量リストラ(撤去)が刊行されています。
セガ、太鼓の達人、BPL対応、ラウンドワン制作ゲームは残留。
まず音楽ゲームから見ると、傾向としてセガ(maimai、チュウニズム、オンゲキ)、バンダイナムコの太鼓の達人、そしてコナミのBEMANI PRO LEAGUE(以下、BPL)対応ゲーム(ビートマニア、DDR、サウンドボルテックス)の残留はあります。
ただ、それでも台数を減らすところはあるみたいです。高松店でもDDRは1台に減らすとのことです。
他のゲーム、とりわけjubeat、ポップンミュージック、ギタドラなどBPL非対応のゲームやタイトーのグルーヴコースター、マーベラスのWACCAなどはリストラ対象にされる傾向です。
つまり、音楽ゲームも売れてる機種のみを残すところが増えるってことです。
カードゲーム、メダルゲームもリストラ。
音楽ゲーム以外のジャンルもカードゲーム、メダルゲームやビデオゲームなどもリストラの対象とし、そこに置かれるのがクレーンゲーム(UFOキャッチャーなど)ということです。その数300〜600台!!
過去にもリストラはあった。
余談だけど、ラウワンは過去にもリストラはありました。もちろん今回同様にリニューアルによるもの。
松山店はスポッチャというのが導入されていますが、他のラウワンと比較して狭いのでそれ用にスペースを確保しなければなりません。
そのため、場所を取るギタドラや他にも見込め無さそうなゲームの撤去、そして人気ゲームでも台数を減らす措置を行い、スポッチャのスペースを確保したわけです。
このようにお店の方針で過去にもリストラがあったということです。
MGでも何回か筐体の撤去や移転などをおこなっていますが、ラウワンの規模は非常に大きいものととれます。
高松店の場合、そこまでリストラされることはない。
高松店の場合、リストラ対象にされるのは基本的に隅っこに追いやられたビデオゲームばかり。そこにjubeatやリフレク、ノスタルジアなどがあります。
ただ、グルーヴコースターやポップンミュージックは稼働継続(一時稼働停止)となるほか、麻雀の隣にあったコナミのローグ系ゲームも同様です。
他にも艦これとかも稼働継続みたいなので、基準は多分もう儲からない(所謂オワコン)ゲームなんでしょう。
そもそも、高松店は1階にプライズゲームが多くあったため、それなりの減台や撤去だけですみそうなのかもしれません。
あとWACCAはサービス終了予定で、オフライン化されるそうです。ただ、ここでの進退はわからん。(発表前の撮影のため)
結局、プライズの方が儲かる。
ここから、なんでプライズに偏重するかについてですが、結論から言えば儲かるから。
ビデオゲームだと百円で1時間できるゲームもザラじゃなく、昔はそれじゃ儲からないということで残機設定を厳しくしていました。それでも上手いプレイヤーは少コストで長時間ゲームができていたということです。
音楽ゲームになると基本的に100円3ステージだった場合10分程度、1時間だと600円程度の儲けにしかなりません。
方やプライズの場合、何回もプレイした場合、2〜3分で500円。1時間入り浸った場合はザクっと20倍ですから1万円の儲けが入るわけです。もちろんビデオゲームのようなレベニューシェアは全くありません。(ただし、電子マネーの手数料やプライズのコストはある)
プライズのコストも跳ね上がったらどうなるかわかりません。
カードゲームなども音楽ゲームほどひどくはないにしてもそれでもカード料金を除けばやはりそんなに儲からない仕組みですね。従来型のビデオゲーム(ガンダムVSなど)ならなおさらです。
メダルゲームは預かってるメダルさえあれば何時間でも入り浸ることができるのでビデオゲーム以上に深刻。メダルは基本メダルの追加のみだからゲームで増やして預ければそれだけプレイヤー側から見たらコスパがいいのです。だから近年はパチンコに代わって高齢者が入っているのです。
メダルの単価が下がったり、専用メダルのゲームを出したり、メダル預かり期間を短くしたりとお店側も試行錯誤していますが、単価が下がった影響は非常に大きいとのことです。
参考リンク:https://iwanablog.net/medalgame-uriagesuii-kongo/
ラウンドワンがクレーンゲームにシフトするのは・・・
ラウワンがクレーンゲームにシフトするのはもちろん構造的不況とパンデミックによるもの。
ラウワンはゲームセンターがメインじゃなく、本来はボウリング場です。
元々ラウワンはスケート場から始まり、ボウリング、カラオケ、ビデオゲーム、スポーツセンター(スポッチャ)をごった煮で取り付けるようになって大きくなっていきました。
しかしパンデミックによる自粛で売り上げは大幅ダウン。2022年3月期の通期業績予想を大幅に下方修正、営業損益は前年比54億円ダウンの65,000万円と営業赤字を計上しています。
自粛等による影響でボウリング、カラオケ、スポッチャも運営するラウワンのダメージは尋常じゃなく、方針転換を余儀なくされたわけでしょう。それが今回のクレーンゲームシフトということなんでしょうね。
まとめ。
まとめです。
本日はラウンドワンのリニューアルでクレーンゲームにウェイトを置くということで、わたしなりに思ったことをお話ししました。
ここ近年のゲームセンターの構造的な不況はパンデミック以前から言われていましたが、現在はさらに顕著になっています。
その要因としては消費税、レベニューシェア(従量課金)、筐体の大型化&高額化、家庭用ゲームの進化です。そうこうしているうちに中小のゲームセンターは閉店しています。
あと、ゲームの時間も音楽ゲームだけなら1時間600円程度に対し、クレーンゲームなら3分600円とかもザラじゃありません。敷居も高くなってることを考えたらそりゃラウンドワンでもクレーンゲームにウェイトを置きたくなります。
つまり、胴元が儲かるシステムで皺寄せが店側に行っているわけです。そりゃビデオゲームが衰退するわな。
今後、ラウンドワンの経営がどうなるかはわかりませんが、お手並み拝見といったところでしょうね。
ちなみに、ラウンドワン以外のゲーセンでもビデオゲームを縮小し、プライズゲームとかが増えているところはありますよ。ラウンドワンが大胆になってるだけです。
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